線路の鉱害

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筑豊(に限らず)では、家や学校、道路など色んなところで鉱害(地盤沈下)が発生しています。
店や玄関に不自然な段差が付いていたり、池になってたり、いつぞやかは穴がボッコリ開いた所もありました。
鉄道も例に漏れず、以前ご紹介したメールにも地盤沈下に関する事が書かれていました。
別件で国会の議事録調べていたら興味深い答弁がありましたので転載します。
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●衆議院 通商産業委員会公聴会 - 1号 昭和25年02月09日

○齋藤公述人
御紹介におずかりました門司鉄道局施設部長齋藤でございます。線路並びに建造物の鉱害について申し上げたいと思います。国有鉄道の鉱害につきましては、本年一月早々数日にわたりまして、通商産業委員の方々の現場御視察をいただきまして、つぶさにその実情を御承知いただいたことと存じますが、私はさらに繰返しまして、九州並びに国鉄全体の特別鉱害の実体につきまして申し述べさしていただきます。
 鉱害の被害地域といたしましては、九州におきましては筑豊炭田、糟屋炭田、三池炭田、唐津炭田、北松炭田それぞれ全地域にわたつております。なお宇部炭田の一部にも発生いたしております。現在線路の沈降いたしております箇所は、五十六箇所に及んでおりまして、その沈降の延長は実に七十九キロに及んでおります。被害を受けております建造物を少し申し述べさしていただきますと、橋梁におきまして、百六十七箇所、駅舎びに建造物の被害は八十四戸に及んでおります。電線路におきまして、四千メートルに達しております。なお線路の延長と現在沈下をいたしております区間との比較をとつてみますと、筑豊炭田におきましてはその延長の一五%、上山田線におきましては二四%、篠栗線におきましては二一%、後藤寺線におきまして二七%、伊田線におきまして一七%、幸袋線におきまして五十一箇所の沈降簡所を見ておる次第でございます。なお駅間について沈降のはなはだしい箇所を調べてみますと、鹿児島本線の折尾、遠賀川の駅間におきまして、全延長の五八%が現在沈降しておる実情でございます。ます。なお佐世保線の北方高橋間におきましても、四十箇所の沈降箇所を見ております。
 線路に発生いたします鉱害の状況につきましては、急速に参りますものと、徐々に来ますものと、突然陥没するものとがございますが、急速に沈降いたすものにつきましては、一箇月五十ミリないし七十ミリに及んでおります。徐々に参りますものにつきましても、一箇月十五ミリ前後に及ぶものが普通でございます。なお陥没性のものにつきましては、降雨の後などにおきまして突然二十センチ三十センチという沈下を見る例があります。もう少し具体的に申し上げますと、宮田線の磯光、宮田間におきましては、鉱害による線路の沈下は、数学的に申し上げますと、建設いたしましてから現在までに七メートル五百沈降を見ておりますが、そのうち十七年以降の特別鉱害に属する沈降がニメートル三百になつております。現在これが復旧はようやく線路を汽車を通す緯度に復旧いたしておる現状でございまして、従来の線路に比べまして、まだ八百ミリの降下を見ておる状態でございます。伊田線の例に見ましても、赤池の駅所構内におきまして、鉱害の延長二キロ六百四十メートルでございますが、十七年以降の沈降だけでもニメートル六百に達しておりまして、現在そのうち五百ミリが工事をされておりまして、まだ従来の線に比べまして、一メートル百の工事未完成区間を残しておるわけでございます。幸袋線におきましても、幸袋、ニ瀬の間におきまして、延長二キロ五百メートルにわたつて沈下を見ておりますが、建設当時からの沈降五メートル三百ミリのうち、四メートル八百ミリが特別の鉱害の対象として現在その施工済みのものは三メートル六百ミリでございまして、まだ一メートル二百ミリの上げ足りない箇所を持つておる次第でございます。そのために二瀬の駅におきましては、昨年八月十七日ジユデイス台風の際におきまして、駅舎の浸水が一メートル四百に及びまして、運輸営業停止のやむなきに至つた実情でございます。以上申し上げましたように、相当の被害区域がございますが、現在運行を辛うじてできる程度に、復旧いたしておる実情でございまして、昔の建設当時の状態には、はるかに及ばない復興状態でございます。
 なお突然陥没いたしました例といたしまして、昭和二十三年の六月に百五十ミリ程度の降雨に伴いまして、幸袋線の目尾の構内におきまして、径間六メートル百の橋梁が突然三百ミリ沈下いたしまして、翌十一日に再び二百ミリの沈下を見た例がございます。次に筑豊線の遠賀川の橋梁に発生いたしました沈下について申し述べますと、この橋梁は特殊の橋桁、鉄道でいいますとフラット・トラスでございますが、この二百尺の橋桁を使つておりまして、その延べ連数九十二連に及び、橋梁の延べ延長七千八百尺に及んでおりますが、その沈下量現在五百ミリ前後に及んでおります。なおそのほかに橋脚の不等沈下のために線路に相当の狂いが生じております。従来の慣例からいいまして、こうした大きな建造物の被害を及ぼすような例は、めつたになかつたのでありますが、戰争中の強行出炭のために、遠賀川橋梁の被害を見たような実情でございまして、特別災害の最も顕著なる例ではないかと信ずるのであります。これらの沈降その他によりまして、線路に及ぼす状況は、左右の狂いはもちろん、水平の狂いも出て参ります。また線路の部分的な不陸も生じて参ります。橋梁その他の建造物の変状ももちろん伴つて参りますしこれらの移動は数ミリに達しますと、列車の運行が危険な状態になりますので、これらの保守につきましては、万全の注意を要する次第でありますし、さらに、風雨の節におきましては、保線従事員の絶えざる注意によりまして運転を確保している次第であります。
 これらの沈降の実際運輸面に及ぼす影響につきまして、申し述べさせていただきますと、現在徐行いたしております区間は二十箇所に及んでおります。これを数字的に考えてみますと、二十三年度におきましても実際に徐行いたしました列車の数は三万七千列車に及びまして、一日約百箇列車が徐行いたしているという実情でございます。なお二十四年度の例を見ましても七万列車が徐行をいたしておりまして、一日約二百列車が徐行をいたしているという数字になつております。なお幸袋線その他におきまして、実際この災害のために列車の運休いたしました日を調べてみますと、延日数にいたしまして百二十二日、列車回数にいたしまして、五百三十一列車の運転休止を見ました実情であります。これらの列車の徐行並びに運転休止によりまして、間接に鉄道の受けます被害も、相当の金額に上りまして、二十四年度のみで一千数百万円の金が想像されております。従来これらの復旧工事の場合には、二十三年度以来プール資金によりまして、わずかに鉱害の復旧をやつておりますが、二十四年度九月以来プール資金の関係も、はつきりいたしませず、この際われわれといたしましては、本法案の一日も早く通過いたしまして、安全なる運行を確保いたしたいと信ずるものであります。以上簡単でございますが、被害の状況を申し述べた次第であります。

以上、転載終わり。


幸袋線と宮田線が酷かったようですね。幸袋線跡の道路を走っていると、R201とクロスする所(新二瀬駅付近)から二瀬の間は高低差を感じる区間があります。建花寺川の道路橋の前後は坂になってるし、冠水注意の標識がある箇所もあるし。当時の線路はこのレベルではないでしょうが、やはり鉱害の影響なんでしょうねぇ。

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コメント(3)

>F355さん
実はうちの嫁の実家も建て直したそうです。
道路よりも家の敷地が低くなってしまい、雨の日は大変だったとか。
いわゆる鉱害復旧工事ってやつですね。

>チョビさん
煉瓦構造物+コンクリ嵩上げ=納得ですよね。
その昔、日炭高松のエリア内に住んでいたことがあるんですが、その時の家は微妙に傾いていた記憶が。
床に置いたビー玉がコロコロ〜と転がっていきましたから(笑)

これをみるとレンガの上にコンクリートがのっかってる橋脚の理由もわかりますね。

地盤沈下なんですね。

水巻に少し傾いて見える家があるんですが、やはり地盤沈下なんでしょうか?

うちの実家も1984年に地上げをしました。
4ヶ月くらい他に引っ越してました。
近所でも田畑をつぶして建ててたところが多かったです。
(だいたいちょっと高いとこの建ててる)
家の改装費以外はそんなにかかんなかったようです。
(詳しくはわかんないですが)

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