・実走 宝泉寺駅跡-県道交差点
左の画像は現役当時の宝泉寺駅の写真とほぼ同アングルで撮影した現在の様子である。 旧国道で軌道と併走していた辺りは「蛍観賞場所」と証されるミニ公園と歩道に姿を変えており、現国道は旧国道の一部と軌道跡を纏めることにより歩道つきの新規格道路に拡幅されたようである。また、現国道は旧国道との交差点に向けて下り勾配となっており、交差点以降は再び上りの勾配となっているが、現存する連絡階段口が現国道とツラ位置になっていることから、ホーム付近の路盤はホームの高さまで嵩上げされたものだと考えられる。実際に自転車で走行してみると、旧国道との交差点以降はかなりの上り勾配になっていることが実感でき、軌道敷きとしては不自然な勾配となっている。尚、軌道が国道を横切るために右に逸れていた地点の一部は画面中央に写っている二台の車両の後方に残っており、現在では駐車スペースとして利用されている。この間の歩道部分は極端に幅が広く採られており、軌道敷きとセンターラインの引かれた国道とを一纏めにしたことが手に取るように解る区間である。ダラダラと長くて緩い勾配を上り詰めた地点が現県道との交差点になっており、軌道敷き跡へは90度の左折となる。出発点からここまでの距離は470mで、実走時間は2’31”であった。
県道との分岐交差点。(470m 2’31”)
国道387号線は直進方向で、県道680号線が左折方向である。
現在の県道であるが、軌道敷きの跡をそのままトレースしたのでは微妙にラインが異なっている事に気づく。特にこの交差点は直角になっており、国道とは斜めにクロスした後に町田川も斜めに跨いでいた軌道ラインとは大きく異なっている。従って、現交差点は若干小国寄りに設けられ、拡幅時に大きなカーブを描かないラインに改められていると推測できる。 あくまでも推測の域を出ないのではあるが、周囲の状況、特に軌道が国道を横切るために一度右に逸れていた地点から推測できる現道のラインは、ピンク色の線のように改められていると思われる。
県道交差点〜串野トンネル分岐点
県道交差点を左折すると直ぐに町田側を跨いでいる。川を渡り終えると左手に学校が見えるが、ここより緩やかな上りが始まっている。 上り勾配は結構長く、途中で旧県道と合流しているが平坦な区間は全く無いままで南下を続けている。県道を1kmほど登っていると、道路左に不自然な広場が設けられている。別段何かの目的を持って建設された公園などではなく、トイレや水場などの設備は全く見受けられないことから、旧県道の余剰部分ではないかと思われる。この地点は航空写真のAの位置に該当すると推測される。
右の写真は 広場から串野方面を撮影。
画面中央部の青色看板が県道の案内板であり、県道は串野集落を避けるように大きく左に逸れていることが判る。
この広場を過ぎた辺りから新旧の県道が併走している。旧県道は完全に当時の原型を留めており、1.5車線規格のまま現県道の左隣で地区の生活道路としての余生を送っているようである。現県道は旧道よりも50cm以上高くなっており、軌道敷きの築堤であったことが容易に想像できる区間である。 新旧県道が合流する位置が串野トンネルとの分岐点になっており、新県道は旧道にそのまま吸収される形で1.5車線道路に戻っている。ここまでは出発点から1780mの距離で、実走時間は9’36”であった。
串野トンネルと県道との分岐部分に残る旧県道。右から前方左方向に横切っているのが新県道で、画面中央右寄りにトンネルに向かう道路が見える。
南方から撮影した串野築堤の様子。軌道用築堤の原型を留めているが、県道との分岐部分(画像右で写っていない)は高さが極端に削られている。
ここまでの走行を纏めると右の地図の通りで、撮影ポイントはカメラマーク、出発地点からの実測距離と実走時間はポインターで示してある。