知っていますか？あの街に鉄道が走っていたこと
覚えていますか？あなたの街に駅があったこと
その廃線跡はどうなっているんだろう？
さぁ、鉄道遺構へ行こう!!
【温泉鉄道・小濱鉄道】

温泉鉄道・小濱鉄道路線の概要（Text／庵田綏宇）

大正期に入り、九州は外国人観光客の流入が増えていった。それと同時に交通整備も進められるに及び、島原方面には大正2年までに島原市までの鉄道が整備された。観光地として雲仙が脚光を浴び始めると、島原半島西側方面への鉄道敷設の要望が高まり、大正9年に温泉鉄道株式会社が、翌10年には小濱鉄道株式会社が設立された。
温泉鉄道は大正12年に愛野村−千々石間（9.3km）の鉄道を開通させる。一方の小濱鉄道も昭和2年、千々石駅を連絡駅として千々石−肥前小濱（8.0km）までの路線を開通させ、営業を開始した。雲仙が昭和9年に日本で初めて国立公園に指定（他の二つは瀬戸内海と霧島）され、観光熱は高まってきたものの、県営バスが長崎−雲仙間の営業を開始させるなど、競合相手に対抗することが出来ず、昭和10年には島原鉄道に経営を委託（昭和7年に温泉・小濱鉄道は合併、雲仙鉄道となっていた）、それも抜本的な解決策にならず昭和13年に廃業となった。僅か15年、薄命の鉄道であった。（参考文献「長崎県の近代化遺産」1998）

温泉鉄道・小濱鉄道特別寄稿（All Photograph ＆ Text／庵田綏宇）