日本セメント香春工場のルーツは、1935年6月に操業を開始したアサノセメント香春工場。土木建築工事画報(※1)によると、操業当初より石灰石、粘土以外の諸材料及び石炭等の受入、出荷は鉄道で行っていたようである。『構内軌道の一端は、夏吉石炭積込駅において省線田川線に連結し、他端は小倉鉄道上香春駅(現・日田彦山線香春駅)に連絡し、同社線起点東小倉駅において門司小倉間の省線鹿児島本線に連結するか又は小倉築港に直行す』といった内容の説明文がある。
◎香春工場〜香春駅
土木建築工事画報(※1)によると、操業時より小倉鉄道を利用した輸送を行っていたようである。小倉鉄道が国有化されても輸送は続けられ、国鉄時代も小倉包装所・門司包装所向けに東小倉・葛葉・門司埠頭、各貨物駅行きのセメント列車が運行されていたが、1986年10月3日限りで廃止された。
◎香春工場〜夏吉駅(〜勾金駅)
土木建築工事画報(※1)によると、操業時より省線夏吉駅を利用していたようである。当時の発送ルートを考えると、主に荷物の受入に利用されていたではないかと思われる。1973年3月31日限りで、田川線貨物支線の勾金〜夏吉間が廃止される。その頃、日本セメントでは生産量が増えていったため、苅田港に新たに包装所を設け、田川線を使った輸送が計画された。そこで、廃止された田川貨物支線を流用し、1976年12月より、香春工場〜夏吉〜勾金〜苅田包装所への輸送が始まる。1989年7月9日限りで廃止された。
※勾金駅〜夏吉駅(田川線貨物支線)
勾金駅は、1895年8月15日に豊州鉄道によって開業。当時は香春駅という駅名だった。夏吉駅への支線は、1899年1月25日に開業。当初は旅客駅だったが、1905年3月1日より貨物駅となる。1973年3月31日限りで、勾金〜夏吉間が廃止される。
(※1/土木建築工事画報 第12巻第3号 昭和11年3月発行(1936年) P153-158 浅野セメント香春工場建設工事)
勾金駅のすぐそばの踏切を香春岳側へ渡ると、左側に細道があります。そこを進んで行くと、駅の裏手にまわることができます。さらに進むと写真のようなT字路に出てきます。写ってません・・・
以前撮った写真に香春の日本セメント専用線跡のものがあったのでUPします。専用線は「香春」に繋がる線と「夏吉」に繋がる線がありましたが、今回は香春への線路跡です。写真は2007年1月・・・